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2017.06.08

被災地の在宅医療にオンライン診療を活用!
CLINICS担当とともに高齢者も無理なく利用できるフローを構築

訪問診療
南相馬市小高病院|藤井 宏二 医師
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南相馬市立小高病院がある南相馬市小高区は、震災による避難指示が2016年7月に解除された地域だ。住民の帰還は進みつつあるが、高齢化率が震災前の27.8%から52.1%へと大きく上昇している一方で、震災前と比べ医療機関数は1/3に減少している。

小高病院は医療資源が少ないなかでも 多くの在宅患者をカバーできるよう、2017年5月よりCLINICSを導入 し、在宅医療の診療への活用を始めた。

病院に通うのが難しい高齢者をオンラインで診療

唯一の常勤医師である藤井宏二先生は、京都第二赤十字病院で30余年にわたって外科医として勤務し、2016年4月に小高病院に赴任。豊富な経験をもとに、医師の少ない小高地区における医療を支えている。

避難指示の解除後、住人の帰還は進みつつあるものの、 帰還者の多くは高齢者というのが現状 だ。そのなかには一人暮らしで、身体・交通の事情から通院が困難なため、在宅医療を必要とする患者も少なくない。オンラインを訪問診療の代わりに取り入れることで、病院にいながら在宅患者のケアができないかと考えCLINICSの導入を決めた。

高齢者でも使えるよう、病院のスタッフがサポート

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しかし高齢者ばかりの地域でオンライン診療を開始することには不安もあったという。

「以前ほかのオンライン診療サービスを見た時には、難しくて小高の患者さんには使えないと思って諦めたんです。でも、CLINICSを見たら、これは誰でも使える形に近いサービスだと思いました。
それでもやはり高齢者には難しそうだとCLINICSの担当に相談したところ、病院のスタッフがタブレット端末を持って回ってはどうかと提案いただいたんです。それはいいなと思って。」

病院のスタッフがタブレット端末を持って行き患者宅を回るという事例は、CLINICSでは初めて。先生や病院のスタッフとCLINICSの担当者が二人三脚で最適なフローを設計し、実現に至った。現在は、看護師が患者のもとにタブレット端末を持ち込み、血圧を測るなど診療の補助も行っている。

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「実際に診ている患者さんは、高血圧・糖尿病・高脂血症などの生活習慣病の方が多いですね。あとは被災地ならではの事情として、狭い仮設住宅などに閉じこもりがちになったことで廃用症候群を患う人も少なくない。下肢の筋力が弱まり、さらに通院することが大変になったケースもあります。」

オンライン診療で、在宅患者の顔がパッと明るくなる

CLINICS導入からわずか1ヶ月弱で、すでに複数の患者が利用しているという。
「タブレットを持って訪問した看護師が驚いていたのは 『オンラインで先生につながった瞬間に、患者さんの顔がパッと明るくなった』 ということ。ご家族も『まるで彼氏に会うように嬉しそうで、オンライン診療のあとは元気になっていた』と言ってくれたそうで、医師としては本望以上の喜びですよね。

医療的な視点では、 家の中の様子が見えることも大きなメリット です。病院に来るときはお化粧して元気な声で話す患者さんでも、家の中の様子が荒れていたら、これは元気がないなとすぐに分かる。想像以上に、診療に有用な情報が得られるなと感じています。」

CLINICSによって広がる医療の可能性

こうした取り組みが国からも注目され、2017年5月10日には安倍晋三首相を表敬訪問し、オンライン診療を取り入れた小高病院の在宅医療体制を紹介した。
実際に 首相に患者役となりオンライン診療を体験した場面では、藤井先生が画面越しに登場 した。

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オンライン診療の活用に手応えを感じている藤井先生。今後の展望を聞くと、こんなアイデアも飛び出した。

「被災地の医療に貢献したいと思いながらも身一つで飛び込むのは難しいという医師も多いでしょう。でも、連携医としてオンラインで診療を手伝えるとなれば、手を挙げる人はいるのでは。例えば私はもともと外科が専門のため、精神科の専門医がオンラインで患者さんを診てくれたら非常に助かります。もちろん対面診療が必要ということになれば、私が訪問することもできますからね。CLINICSが導入されることで、こうした可能性について思いをめぐらすことができるようになったのも、良い効果ですよね。」

オンライン診療の可能性はまだまだ大きそうだ。

医療機関概要
医療機関名: 南相馬市小高病院
所在地: 福島県南相馬市小高区東町3丁目8番地
TEL: 0244-44-2025